コラム2026.10.04

紹介に頼るBtoB営業をどう変えるか——「紹介された理由」から販路を設計する

紹介で仕事が来る。ありがたい話です。一方で、紹介元の活動に商談数が左右されると、次の案件を見通しにくくなります。

ここで広告費を増やす前に知りたいのは、「誰が、どんな問題を聞いたとき、自社を思い出してくれたのか」です。紹介は販路であると同時に、顧客から見た自社の意味を知る手掛かりになります。その理由を確かめ、営業と提供の仕組みに移していく。紹介依存から抜ける出発点はそこにあります。

紹介件数だけでは判断できない

直近の紹介案件を、紹介元、相談内容、受注した仕事、粗利、再発注の有無で並べてみます。人間関係が近いから紹介されたのか。特定の問題に強いと思われたのか。紹介元に聞けるなら、何と伝えて相手に紹介したかを確認します。

紹介された顧客にも、依頼前に比較した選択肢と決め手を聞きます。紹介元の期待、顧客の判断、実際に提供した価値が同じとは限りません。聞き方は「選ばれた理由」の聞き取りで扱っています。売上だけを見ると、対応負荷が重く採算の薄い紹介まで増やしてしまう可能性があります。

「紹介される一言」を約束に変える

紹介元からの説明に「急な仕様変更にも相談に乗れる」が含まれていたなら、その言葉をまず社内で確かめます。Webの見出しを「柔軟な対応力」に変えるだけでは足りません。どの変更まで、誰が判断し、費用と納期をいつ回答できるのか。現場とすり合わせて初めて、社外に伝えてよい約束になります。

何を選ばれる理由として掲げるかは、対象顧客と提供能力の選択です。すべての紹介に応えようとすると、約束が広がりすぎます。自社が利益を残しながら続けられる仕事、顧客が対価を払う仕事を絞ってください。これがブランド戦略の判断になります。

新しい販路は一つずつ試す

紹介をやめる必要はありません。ただ、紹介者がいなくても必要な相手に届く道を持ちたい。候補は既存顧客の別部署への提案、協力会社との連携、自社サイトでの具体的な課題解説、展示会後の継続連絡などです。案件の性質によって順番は変わります。

最初は対象顧客と課題を一つ決め、対応できるサービスの範囲、判断材料となる実績や工程、問い合わせ先を揃えます。受注件数だけでなく、相談の質、商談までの時間、案件別の粗利も見ます。直接問い合わせが増えても、採算が落ちれば販路設計を見直すべきです。追う指標の考え方はブランド施策の効果測定につながります。

中小企業庁の2024年版「小規模企業白書」では、2019年と比べた2023年の顧客数が増加する見通しの小規模事業者は、不変・減少の見通しの事業者より、販路開拓の多くの取組を実施する割合が高く、特に新商品・サービスの投入と自社サイト・SNSでの情報発信に差が見られます。これは対象を小規模事業者とした比較で、情報発信だけが顧客増を生んだという証明でも、BtoB企業にそのまま当てはまる数字でもありません。販路を考える際の参考にとどめます。

紹介で得た信頼を、再現できる約束と販路に変えられるか。まずは直近の紹介案件で、紹介元の一言と、顧客が実際に選んだ理由を比べてみてください。顧客選択から営業・提供体制までつなぐ支援はサービスページで紹介しています。

参考資料

著者:入倉大亮(株式会社HUV DESIGN OFFICE 代表取締役)

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