コラム2026.10.07
展示会で名刺は集まったのに商談にならない——次の連絡を変えるための点検
名刺は集まった。お礼のメールも送った。それでも、営業に渡せる商談がほとんどない。次回の出展を決める前に、集めた名刺の枚数とは別に見たいものがあります。
会場で相手が何に関心を示し、次に何をする約束をしたか。この記録がないまま全員に同じ提案を送っても、どこで話が止まったのかを判断できません。まずは出展時の会話と、その後の対応をつなげて見直します。以下は、原因を調べるための実務提案です。
名刺だけでは、提案してよい段階か分からない
直近の展示会を一つ選び、相手の会社・部署、話題になった用途や課題、検討時期、約束した資料や連絡方法を並べます。記録がない欄は空欄のままにし、「興味がありそうだった」という担当者の印象と、相手が話した内容を分けてください。
具体的な課題と次の打ち合わせが決まっている人には、その準備を進める。情報収集の段階なら、関心を示した論点に合う資料を用意する。対応範囲が合わない人は、無理に商談へ進めない。相手が何を知りたいか不明なら、その一点を確かめる連絡から始めます。
ここで「商談にしたい相手」を営業担当ごとの感覚に任せているなら、次の出展も同じ名刺集めになりかねません。どの顧客のどの仕事なら、自社は約束した価値を最後まで提供できるのか。経営が対象を選び、会場で聞くことと営業へ渡す条件に反映させます。
次の連絡方法と送る資料を会場で確かめ、相手の希望を記録に残します。連絡を望まない相手には、それに沿った対応をしてください。
お礼のあとに、何を渡したか
送信日だけでなく、相手の質問に答えたかを追います。必要な仕様を聞かれたのに会社案内だけを送っていないか。見積の条件が分からないまま面談を求めていないか。顧客が社内で判断する材料が不足しているなら、連絡回数を増やす前に、その材料を揃えます。提案先の役割ごとに必要な情報も参考になります。
JETROは2021年3月16日公開のオンライン商談セミナー報告で、商談後に合意事項や宿題、追加資料を扱うことを紹介しています。[1] 海外バイヤーとのオンライン商談に関する実務上の助言であり、国内展示会の商談化率を実証した調査ではありません。本稿では、連絡の内容を点検する観点として参照しています。
次回の出展費を決める前に
名刺交換、課題を聞けた相手、次の面談に合意した相手、実施した面談、見積、受注を分けて数えます。「商談」は面談への合意なのか、具体的な案件相談なのかを社内で揃えます。名刺が多いのに課題を聞けていなければ、会場での質問を変える。課題は聞けたのに連絡できていなければ、担当と対応時間を決める。面談はできても条件が合わなければ、展示する用途や対象顧客を見直す。このように、止まった場所から手を打ちます。
費用には出展料や制作費だけでなく、準備と事後対応の人件費も含めます。投資を振り返る際は受注額だけでなく、その案件で見込む粗利とも比べます。粗利から出展関連費用を差し引くときは、同じ人件費を両側で二重に差し引かないよう、計算に含めた費用を揃えてください。受注まで時間がかかる商材では、会期直後の受注ゼロだけで失敗と決めず、見直す時期を先に設けてください。追跡中の案件と失注を混ぜないことも必要です。
会場で約束した価値を、営業と提供部門が同じ条件で説明できるか。対象顧客と提供価値が曖昧なら、ブースの表現を変える前に経営側で決めることがあります。ここがブランド戦略との接点です。HUV DESIGN OFFICEの選ばれる理由を定め、接点へ実装する支援をご覧ください。
展示会の来場者層がそもそも合わない場合や、必須仕様を満たせない場合は、フォローの改善だけでは解消しません。次の出展を続けるかも含めて検討してください。
参照資料
[1] JETRO「オンライン商談のコツ、ジェトロ職員によるセミナーを開催」(2021年3月16日公開、2026年10月7日閲覧) https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/03/5b2279a4a17ee88b.html
著者:入倉大亮(株式会社HUV DESIGN OFFICE 代表取締役)
