コラム2026.10.05

既存顧客から追加の相談が来ない——追加提案より先に確かめたいこと

以前は声がかかっていた顧客から、最近は追加の相談が来ない。営業の接触回数を増やしたくなる場面です。ただ、先に知りたいのは「相談が減った理由」です。顧客の投資が止まったのか、窓口が変わったのか、当社に任せられる仕事が伝わっていないのか。それぞれ打ち手が違います。

まず直近の主要顧客を数社選び、同じ期間で取引の変化を案件単位で見ます。受注額だけでなく、問い合わせの件数、相談されたテーマ、失注・保留の理由、納品後の評価を並べてください。追加相談が少ないことと、関係が悪化したことを同じ意味にしないためです。

「聞かれていない」の中身を分ける

営業担当者には、顧客の担当部署と決裁者が変わっていないかを聞きます。提供部門には、納品後の問い合わせや不満がなかったかを聞く。顧客には、今後の課題と、当社をどんな仕事の候補として見ているかを尋ねます。「何かあればぜひ」では、相手の検討条件は分かりません。

米国NISTのBaldrige Criteria Commentaryは、顧客の声を複数の方法で聞き、得た情報を製品・サービスや業務プロセスに結びつける観点を示しています。これは経営の点検枠組みであり、この質問順の効果を実証した資料ではありません。ここから先は、その観点を使った実務上の提案です。

次の提案を出す前に

聞き取った課題が自社の提供能力に合うか、採算が成立するかを現場と確かめます。既存の仕事を広げられるなら、顧客の業務上の変化に合わせて提案します。合わないなら、無理に「何でもできます」と言わない。紹介できる相手がいるかを考える方が、関係を傷めずに済む場合もあります。

一方、複数の顧客が同じ価値を求めているのに、社内で説明や提供の仕方が揃っていないなら、個別の営業努力だけでは足りません。誰に何を約束し、どの部署がどう届けるかを経営判断として決める必要があります。この論点は顧客に選ばれた理由を聞く方法や営業から現場への引き継ぎにもつながります。

追加相談の減少が顧客側の予算や事業縮小によるものなら、ブランド戦略だけで受注を戻すことはできません。また、追加提案の結果は顧客の投資時期にも左右されます。顧客との接点と提供価値のずれを調べ、経営と現場の対応を決めたい場合は、HUV DESIGN OFFICEのサービス内容をご覧ください。

参照資料

著者:入倉大亮(株式会社HUV DESIGN OFFICE 代表取締役)

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